2023年に行われた「filmbum Film Awards」にて最優秀賞を獲得した、Heso監督の短編映画制作にfilmbumが協力し生まれた短編映画『オン・ア・ボート』は、第19回大阪アジアン映画祭で特別賞を獲得したほか、ニューヨークでの映画祭で入選を果たした。撮影の舞台となっているのが、さまざまな"つながり"を叶えるFREAK'S HOUSE(フリークスハウス)。
短編映画『オン・ア・ボート』の舞台、FREAK'S HOUSE。
- 松浦 りょう
- まつうら・りょう|俳優。2014年に映画『渇き。』で銀幕デビュー。その後も大河ドラマをはじめとした数々の作品に出演。『オン・ア・ボート』では さら 役を演じる。アクティブ派で、家にいることはほとんどない。映画と読書、そしてお酒が趣味。
- Instagram - @ryomatsuura
- 山本 奈衣瑠
- やまもと・ないる|モデルとしてキャリアをスタート。2019年から俳優としても活動をはじめ、そのかたわらで自ら編集長を務めるフリーマガジン「EA magazine」も創刊。『オン・ア・ボート』では えだまめ 役を演じる。愛犬家であり、2匹のフレンチブルドッグとともに暮らす。
- Instagram - @nairuuuu
- Heso
- ヘソ|テレビ番組のADを経て構成作家を務めたのち、映像ディレクターに。現在はテレビCMやウェブCM、ミュージックビデオなどの制作を手掛ける。『オン・ア・ボート』が映画監督としてのデビュー作。休みの日は料理に没頭し、腕前はかなりのもの。猫と犬と音楽が好き。
- Instagram - @shuheymurata
いざ!思い出の地、FREAK'S HOUSEへ。
2023年9月、猛暑のなか3日間に渡り撮影は行われ、ここで濃密で刺激的な日々を送ったお三方。そして、2024年6月某日。
久しぶりに来た〜!
懐かしいね〜。でも、ちょっと広く感じない?
撮影のときはピアノもあったし、人もいっぱいいたしね。
Heso監督は最初にここを見たとき、どんな印象だった?
スタッフ陣みんな声を揃えて「いい家!」って言ってましたよ。こういうところ住みたいよね〜とかね。で、やっぱりリビングの天井が抜けてるっていうのがめちゃくちゃよかった。住む場所としても気持ちいいし、撮影場所としても照明の工夫がいろいろできるから、よかったんですよ。
『オン・ア・ボート』はサラがいいお家に住んでいるっていうのも、ストーリーの中で重要だったでしょ? そこに私、エダマメが久しぶりに会いに行くわけだけど、この家は説得力あるよ。
そうそう。新しくて、キレイな家での新婚生活っていうね。
家の構造も、全部が繋がっているんだけど、ドアのある部屋もしっかりあって、中庭もあって。この家が舞台だったからこそ描けたシーンもたくさんありました。
『オン・ア・ボート』のあらすじはこう。
"「ひとまわり歳上の男と結婚し、マイホームを手に入れたばかりの女。彼女の結婚と新居を祝うために、かつて共に自由を謳歌した“友人”が訪ねてくる。未だに奔放な友人と古風な夫と過ごす一夜に、女の心は揺れ動く。」"
あらすじに出てくる「マイホーム」というのが、FREAK'S HOUSE。そこで暮らす夫の忠(渋川清彦)と妻のさら(松浦りょう)。そこへさらの友人であるえだまめ(山本奈衣瑠)がやってくるというストーリー。
映画は終始緊張感に包まれて、静かで、次に何が起こるのかとソワソワする。
「気になる方は劇場で」と言いたいところだけど、まだ公開の予定はない。応援したい人は、ぜひ後述するクラウドファンディングでサポートを。
3人はFREAK'S HOUSE、どう使う?
お三方、年齢も違えば住んでいる環境も異なり、家族構成も全然違う。そんな三人がFREAK'S HOUSEに住んだなら、どんな使い方をしてみたいか。ここからは家にまつわるお話を。
私、FREAK'S HOUSEのリビングにある大きい窓がめっちゃ好きでした。やっぱり太陽の光は大事。家にも欲しい。
それで言うなら、ぼくはキッチンかな。広いのはもちろん、高さもあって。後ろにも台があるから、そっちで野菜を切って、鍋に野菜をいれたりね。
朝食はカウンターで「コーヒー入ったよー」とかね。
Heso監督は料理好きですしね。
料理が家事になることが、すごく嫌で。「めんどくさいからタッパーのままで食べよう」とかも嫌。でもここなら、きっとそんなことにならないでしょ?
キッチンで料理しながら、夫だったり彼氏に作ったものをすぐ出せて、目の前で食べてもらえるっていう…幸せ。
確かにいいね。あとさ、床も気持ちいいでしょ?だから私は、玄関から入ってくるところから靴下でスースー進みたい。
ちょっと、よくわかんない(笑)。
休みの日に明るい時間からカウンターでお酒を飲んで、ソファーで寝て、起きたら暗くなってて、また飲み始める、みたいなのもいいな〜。
飲んでダラダラするってさ、この家でするのと自分の家でするのじゃ意味が違うよね。この家でそんなことやっても、ダラしなくないもん。オシャレだもんね。絶対ワインを飲みたいもん。
『オン・ア・ボート』のここを見て。
さて、話を戻して『オン・ア・ボート』のことを。同映画は短編映画のため、時間にして30分強。その短い時間のなかに、あらゆる要素がぎゅっと詰まっている。FREAK'S HOUSEを最大限使いながら、人間の機微を描き出している。次に伺うのは、その30分のなかで、最も印象に刻まれたシーンと見どころについて。
私はやっぱりピアノのシーンが一番印象に残っているかな。もともと弾けるわけではないので、めちゃくちゃ練習しました。サラと一緒に歌って踊るシーンは映画の中でも大事なポイントでしたし。
あのシーンは本当に全員野球でね。歌ってる途中に照明を切り替えなきゃいけなかったから「せーの!」で電気を消したりね。
りょうちゃんの歌は、本当に感動したな〜。この家、音が響きますよね?
私が思ったのは、『オン・ア・ボート』って、ひとりの主人公がいる感じではないんですよね。映画の中に登場するみんなの目線が集まって、みんなの思いがあって、真ん中に何かがある感じじゃないというか。だから見る人たちが、どの役に感情を移入するかによって映画の解釈が違ってくると思って、そこも映画の醍醐味な気がするな。
私は、この映画自体がHeso監督だなと思っています。すごく繊細で、不器用で、けれどユーモアがあって。そしてスタッフ、出演者、みんなが全身全霊で取り組んでいたし、本当におもしろい映画になっているから、ぜひ多くの人に見て欲しいですね。
そう。ピアノの調律師の人が「すっごいいい音ですね」って。 録音部の人も言ってたんですよ。(松浦)りょうちゃんはどのシーンが印象深いですか?
私はやっぱり、渋川さんの頬を叩かせていただいたシーンかな。「思いっきりでいいよ」と言っていただいたんで、思いっきりいきましたけど、 叩いた後にNGを出しちゃって…。なので結局、2発叩くという…。2回目は顎に入ってしまったらしく、渋川さんの脳が揺れたみたいです(苦笑)
そんなこともありましたね(笑)。ぼくはひとつに絞れないですけど、とにかくみなさんの演技が素晴らしかったし、みなさんの一挙一動が映画のすべて。今回は別の編集者が編集をしてくれたんですけど、彼女も「みんな演技が細かい!」と言っていて。
Heso監督が思う見どころはどこですか?
やっぱりみなさんの演技です。一般的な映画だとずっとは集中してられないけど、30分のショートフィルムだから、ずっと画面に集中して楽しんでほしいですね。
みんなの力で『オン・ア・ボート』を劇場で。
ここまで映画について触れてましたが、先述したように、劇場公開の日程は決まっていません。
実は、映画を作ったとしても、そのすべてが映画館で上演されるわけではないんです。話題作は別として、インディペンデントな映画というのは、映画祭などに出品することで評価が高まり、劇場公開に繋がる例が少なくない。『オン・ア・ボート』もそのひとつ。
だから、クラウドファンディング。
支援金の使い道は、制作費のほか、メインとなるのは国内・海外で開催される映画祭への出品費用。ほとんどの映画祭は応募自体が有料で、高いものでは1万円以上費用がかかることもあります。より多くの映画祭へ出品し、そこで評価を得て、映画配給会社の目に留まれば劇場公開も近づくというわけです。
気になるリターンがとにかく豪華。詳しくはこちらを確認いただくとして、2人が着るこのTシャツなんて、色もデザインもいい感じ。
それもそのはずで、デザインを手がけたのはイラストレーターとして人気を博すaimi odawara によるもの。書き下ろしのイラストのものと、作品のキービジュアルを配した2種類が用意されています。
ほかにもバンダナや、Kan Sanoによる劇中オリジナル曲の限定アナログレコード、劇中で登場した小道具、Heso監督が使っていた台本などなど、リターンは全部で16種類。クラウドファンディングのページには、Heso監督の熱い思いも記されています。
素敵な映画だからこそ、多くの人に見て欲しい。みんなの力で、どうか『オン・ア・ボート』を劇場で!
- Photo/Hiroyuki Takenouchi
- Text/Keisuke Kimura
- filmbum
- 名前の由来は"記録"するfilmと、"記憶"するalbum。あらゆるジャンルで活躍するクリエイターと一緒に制作したHOME STORIES(ホームストーリーズ)を掲載するメディア。LIFE LABELやDolive の住宅が、映像作品の舞台として登場。
- 詳しくはこちら
- 短編映画『オン・ア・ボート』
- ひとまわり歳上の男と結婚し、マイホームを手に入れたばかりの女。彼女の結婚と新居を祝うために、かつて共に自由を謳歌した“友人”が訪ねてくる。未だに奔放な友人と古風な夫と過ごす一夜に、女の心は揺れ動く。 『山歌(サンカ)』(OAFF2022)等の渋川清彦、『赦し』(OAFF2023)主演の松浦りょう、『走れない人の走り方』(OAFF2024)主演の山本奈衣瑠らが共演。映画音楽を、Kan Sanoが手がけた。
- Instagram - @onaboat_film
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