ビルトインガレージを活用したギア部屋で、日常とアウトドアをシームレスに繋ぐ。
浜田大士さんは、アウトドア関係の撮影で活躍するフォトグラファー。妻の香菜子さんはアウトドアユニット「CAMMOC(キャンモック)」のメンバーであり、フードコーディネーターとしても活躍中。そんな外遊び好きな2人がビルトインガレージのある理想の家を作り上げた。そこには自分たちのライフスタイルを徹底して見据えた結果の、機能美があった。
- 浜田 大士さん/香菜子さん(フォトグラファー/CAMMOC 共同代表)
- はまだ・だいし/かなこ|大士さんは、2010年にフリーランスのフォトグラファーとしてのキャリアをスタート。アウトドアに限らず、ライブ、ファッション、フード、ランドスケープなどカテゴリーにとらわれず活躍中。映像関連の仕事も多く、ドローンを用いた空撮などの撮影・編集もおこなっている。香菜子さん(@hapi.cammoc)はフードコーディネーターのほかに、キャンプユニットCAMMOCの共同代表も務める。昨年、テンマクデザインから自身プロデュースによるテントもリリース。
- instagram - @daishihamada
クルマからギア部屋までわずか3歩。
カスタムされたデリカD:5、そして正面左手にある開口部から覗くキャンプギアたち。外観を見ただけで、その人の趣味がわかる家がある。今回訪ねた浜田大士さんは、間違いなくアウトドア好きだ。
フォトグラファーとして活躍する浜田さんは、プライベートなキャンプの他にも、撮影で山や海におもむくことも多いという。だからビルトインガレージに設けたギア部屋は、家を建てるときにマストだった。しかもその位置関係が抜群で、クルマからわずか3歩の距離。
「以前住んでいた家は2階にギア部屋があったんですが、道具の出し入れが本当に大変で。この家になってからはストレスなし。以前だったら『片付けは明日にするか…』となったりもしていたんですが、今ではポンポン放り込むだけで片付けも一瞬で済みますからね。アウトドアに出かける頻度もあがりました」
妻の香菜子さんは「CAMMOC」というアウトドアユニットでキャンプコーディネーターとしても活躍しているから、ギア部屋は2人の道具がぎっしり詰まっている。
「この部屋があるお陰で、以前よりも夫婦のキャンプギアを共有しやすくなりました。それもあって、家族でのキャンプもより楽しくなりました」
家を建てた当初はがらんどうだったガレージスペースは、DIY好きな浜田さんの手によって、手持ちのギアに合わせた収納が設けられている。手前の壁側には、キャンプラックをカスタムした自作の作業台も。「このスペースのおかげでギアをいじるのも楽しくなりました。ランタンやキャンプストーブなどの小物はぜんぶ自分でメンテしています」
床はコンクリートになっているので土足でOKだし、汚れたキャンプ道具をしまう際にもストレスフリー。奥の扉は、玄関に繋がっていて導線も完璧。ただ収納するだけの部屋ではなく、ギアたちをディスプレイして楽しめるように浜田さんの手によってさまざまなカスタムが施されている。
このアクセスのよすぎるギア部屋は、浜田さん一家にとって日常とアウトドアをシームレスに繋ぐために必須の場所だ。
仕切りを最小限にした開放的な空間。
2階にあるリビングに入ったときの第一印象は「明るい」ということ。全面を白壁で統一し、さらに吹き抜けを活かして採光窓を高い場所に配置することで、部屋全体に光が回るようになっている。「実はここで撮影することもあるので、光の入り方にはかなりこだわりました」
2階部分にはほとんど仕切りらしい仕切りがないことも広さを感じさせるのにひと役買っている。「この家になってから以前よりもいっそう友人達が遊びにくるようになりましたね。家の作りに一体感があるから、大人数で集まってもみんながひとつの空間を共有できるので、自然と盛り上がるんですよ」
そして、この家を語る上で外せないのが2階部分にある広々としたウッドデッキ。キャンプギアを展開すれば、もはやそこは快適なキャンプ場のよう。タープを常設することで設営の手間を省いていて、第2のリビングとしても機能している。今回設営しているのは香菜子さんがプロデュースした「LaLa」の3人用テント。このサイズでもストレスなく張れるから、キャンプから持ち帰ったギア類を広げて乾かすのも簡単なのだ。
“家でもキャンプ”という意味では、薪ストーブの存在も大きい。「床暖房が入ってるんで、実はそれだけでも快適なんです。だから娯楽としての薪ストーブですね。家で焚き火ができるなんて最高じゃないですか」
今年5歳の長女の陽花(ひなた)ちゃんも積極的にお手伝い。「危ないから」と炎から遠ざけるのではなく、正しい扱い方を教える。
機能もルックスも両立した広々としたキッチン。
キッチン周りはフードコーディネーターとしても活躍する香菜子さんのこだわりが詰まった空間。あえてダイニングスペースを排除して、まるでアメリカのような広々としたアイランドキッチンに仕立てている。
そしてここは家族のキッチンであると同時に、香菜子さんの撮影スタジオでもある。「たいていガスグリルって壁側に付いているんですが、あえてカウンターの上に設置しています。こうしたほうが撮影したときにも見映えがいいんですよ」キャンプ料理の撮影も多いため、向かって右奥の棚にはダッチオーブンはじめ、アウトドアでも使える調理器具がズラリと並んでいる。
ここでも陽花ちゃんはしっかりお手伝い。「ワタシの包丁だってあるんだよ!」と、赤い柄のかわいらしいナイフを見せてくれる。フードコーディネートは香菜子さん、アシスタント役に陽花ちゃん、そして撮影はもちろん浜田さん。家族みんなで協力しながら、CAMP系サイトのYouTubeに出演したこともあるという。ここは自宅という概念を超えた空間。仕事場であり、遊び場でもある。
逆に集中できる!? 好きが詰まった仕事部屋。
最後に浜田さんが「実は一番気に入ってる空間」という仕事部屋にお邪魔する。まっさきに目に入ってくるのは棚や壁をこれでもかと使ってディスプレイされたバスケットシューズやポスターなどのバスケット関連グッズ。右の壁にはギターも吊り下げられている。ここは、本当に仕事場?
「一応、仕事部屋ということにはなっているんですが “好き”だけをとにかく集めた感じです(笑)」
たしかに360度全方位、ビッシリと浜田さんの好きなもので埋め尽くされたオモチャ箱のような空間だ。
「知人からドアを丸ごと譲ってもらったんですけど、取っ手部分がペグハンマーになってるんですよ。本当はギア部屋のドアにしたかったんですけど、防犯上の理由でやむなくトイレのドアに。これだけ大きな木製ドアなんで、湿気とかで締まり具合とかが変わるんです。それで、あ、今乾燥してるんだなとか、季節の移り変わりを感じたりしてますよ(笑)」
家族愛が作る、理想の我が家。
家には、住む人のライフスタイルが大なり小なり反映されるもの。でもそれをしっかりアジャストして作り上げるためには、いかに普段から、自分を含め家族に目を向けているか、ということが大事になってくる。
浜田さんの家はまさに、自分たち仕様。型にはまることなく、家族の暮らし、趣味、仕事などを最大限に配慮して、細かい点にまで気を配って作り上げられている。思いやりにあふれた家族愛が詰まっているのだ。
- Photo/Kei Fujiwara
- Text/Takashi Sakurai
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