植物と2匹の猫、モロッコラグ。好きなものだけを集めた家。
美容師として活動後、現在はモロッコラグの輸入販売をしながら陶芸家アシスタントとして邁進する鈴木茜さん。夫の竜也さんは、フリーランスのヘアメイクとして忙しい日々を送る。夫婦の好みは少し異なるというが、お互いの趣味を尊重しながら集めた家具や雑貨が、家全体の心地よい統一感を生み出していた。来年には、都内と郊外での二拠点生活も視野に入れているというふたり。今、そしてこれからの理想の暮らしについて伺った。
日当りの良さと過ごしやすさ、そのバランスが決め手。
鈴木茜さん(@akane___suzuki)と竜也さん(@tatsuyasuzuki_)が暮らすのは、閑静な住宅街のマンションの一室。この場所へ越してきたのは、ちょうど一年ほど前。前の家が取り壊されることになり、やむを得ない選択だった。
「たくさん内見に行きましたが、この部屋は日当りがいいのと、公園が近いので引っ越したときのイメージができたんです。後から知ったことですが、カメラマンやスタイリストなどクリエイターが多く住む街で、いい環境なんだろうなと。この部屋の前の住人も外国人クリエイターだったようです」と竜也さん。
モロッコラグの輸入販売をしながら陶芸家のアシスタントをする茜さんにとっては、ライフスタイルの変化も部屋選びに大きく影響したそう。
「わたしが陶芸を始めたこともあり、作業できる部屋を増やしたいという相談はして。家賃や平米数などのバランスが良くて、住みやすいなと思います」
明るさを活かし、グリーンをメインに置いたレイアウトに。
家の中心にあるリビングでは、多くのグリーンが生き生きと枝葉を伸ばしている。竜也さん曰く、家を整えていくうえで、植物をどこに提げるか、テーブルをどこに設置するか、などメインになりそうなものたちの場所を最初に決めたそう。
「グリーンの数は増やしたわけではないけど、みんながどんどん大きくなっていって、結果増えたように見えるんですかね(笑)。どんどん植物は形が変わっていくから、バランスを見て場所を変えたりもしています」と茜さん。
ごちゃっとしているけど統一感がある=人となりが見える家
デザイナー家具などを調べるのが好きで、見ているうちに欲しくなるタイプ、という竜也さん。片や茜さんはヴィンテージや一点もののような二度と出合えなさそうなものが好きで、“かわいいな”と感覚で選ぶタイプ。ふたりの感性や選ぶものが絶妙に異なっているからこそ、絶妙なバランスで統一感が生まれている。
サイドボードの上には、「アウトオブミュージアム」の目玉焼きのオブジェや、中瀬萌さんの作品などがジャンルレスに様々飾られている。
「知り合いの作品もよく買っていて、玄関の写真は友人の柏田テツヲくんのものです」
モロッコのラグの仕入れ・販売も行う茜さん。部屋の一角に高く積み上げられたラグは、それだけで部屋に彩りを加えている。
「ラグも編むひとによって表情が違う一点もの。アートのひとつとして敷いたりしています」
本が好き、というのは夫婦共通の趣味。茜さんは学生時代に友人の洋書を見る会などを開いたこともあるというほど。
「収集癖もあり、本が好きなので、どんどん増えてしまって。昔の本も定期的に読み返します。今は田舎暮らしを計画しているので、インテリアの本を眺めています」
愛猫が顔を覗かせる出窓が、我が家のベストスポット。
竜也さんが一番気に入っているのは、出窓のコーナー。ベランダで作業していると、愛猫のロイとペロが、そこから顔を覗かせるのだそうだ。
「めちゃくちゃかわいいんです(笑)。この家は角や出っ張りが多くて、本当は一部屋だったらいいところも、区切られていたり。でも、本棚もあるし、逆に置き場所を決められて便利かもなと思っています。天井も斜めになっているんですが、なんとなく屋根の雰囲気を感じられるのもいいなって」
二拠点生活を視野に入れた、理想の暮らし。
「普段は時間に追われて仕事をしていたりして、めまぐるしい日々を送っています。でも、植物や動物がちゃんと育つ家というのは、自分にとってはとても大切。結婚前は倉庫のような部屋で寝に帰るだけの生活でしたが、妻と一緒に生活することで、ライフスタイルが変わりましたね」と竜也さん。
一方茜さんも「植物は水をあげないと枯れちゃうし、生き物を飼うというのは大変なことも多い。でも、きちんと手間をかけたり、猫の世話をしたり、夫とも忙しくても朝ごはんだけは一緒に食べたり。そういう時間を作ることが、癒やしに繫がっています」と話す。
仕事に励みながら、家族と猫と植物と、好きなものに囲まれて心地のいい時間を過ごす。そうしているうちに、もっと緑の多い郊外と都内との二拠点生活もいいかもしれないと、地方に家を持つことを計画しはじめたふたり。近いうち、それが実現すれば、また一歩、理想の暮らしに近づきそうだ。
- Photo/Masashi Ura
- Text/Shoko Matsumoto
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