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家はとにかく広く、クルマはとにかくカッコよく。
GARAGE LIFE 2022.02.24

家はとにかく広く、クルマはとにかくカッコよく。

岡本 真由美/Interior stylist

日々の生活の中で「家」という居住空間はもちろんですが、充実したライフスタイルを送る上で「クルマ(愛車)」も欠かせない存在。そんなクルマが家にとってどのような立ち位置なのか。両者の関係性にフォーカスし、それぞれの“モノ選び”の基準について話を伺います。 今回訪れたのは、空間づくりのプロであるインテリアスタイリスト、岡本 真由美さんのもと。

INFORMATION
岡本 真由美(Interior stylist)
岡本 真由美(Interior stylist)
おかもと・まゆみ|大阪にあるコマーシャルフォト会社に在籍したのち、2013年に上京。東京で一年半のアシスタント経験を積み、現在はフリーランスのインテリアスタイリトとして、アーティストのミュージックビデオや広告、カタログ、店舗内装など、幅広く活動している。

古いから大変だ、ってことは一旦置いといて。

「どこに行くにも基本的には、このクルマ。打ち合わせからロケハン、撮影スタジオまで、ずっと乗っていますね。結構、ずっと」

そう話すのは、都内を拠点にインテリアスタイリストとして活躍する岡本 真由美さん。仕事柄、必要になるクルマは荷物をたくさん詰んでおける“広くて、背の高いもの”と勝手に思い込んでいたけれど、意外とそんなことはないようだ。

「ステーションワゴンだから、荷物は割と載るんです。でも、撮影の規模次第ではより多くの荷物を必要とすることもあるので、その時はもう一台のクルマで対応。日産・キャラバンを別で所有してるんですけど、そっちは基本的にアシスタントが使ってます。私はずっとこのクルマ。なので、現場では“そんなクルマで来て、大丈夫?”と、クルマ好きのスタッフさんによくツッコまれます(笑)。私があまり心配性じゃないから、“心配した方がいいよ”とも」

それもそのはず。彼女の愛車は、メルセデス・ベンツの280TE(W123)。生産終了から30年以上が経過する、ヤングタイマーカーだ。当然、トラブルはつきものである。

「アシスタントを乗せて現場に向かう道中、一度だけクルマが動かなくなったことあります。その時は、“あと、宜しくお願いします”ってアシスタントをその場に残し、私だけ先に現場へ向かい……。クラシックカーって、もちろん古いから大変だってのはあるんですけど、一旦それは置いといて、私は単純に好きなクルマに乗っていたいなっていう想いの方が強いんです」

憧れだった、メルセデス・ベンツ「280TE(W123)」。

「東京に来たのが9年前。当時出会った洋服のデザイナーさんとかスタイリストさんとか、イケてる人たちがみんな古いベンツ乗っていて。めっちゃかっこいい、私もいつか乗りたいって思うようになったんです」
なかでも、強く惹かれたのが現在の愛車となるW123だった。独特な佇まいが見る者の心を魅了し、高級車としての品の良さは時を重ねるごとにより深く、高まる。
「大好きなブランドのデザイナーさんがW123に乗っていることを知り、すごく惹かれて。でも、まだ上京したてということもあり、お金に余裕があるわけでもなく……。まだ私には早いかなと、代わりにフィアットのパンダを当時買いました。カクカクとした見た目がどことなく似ている気がして」

初めて手にしたマイカー、フィアットには約1年半乗った。その後、念願のW123に。
「すごく安かったんですよ、相場の半値ぐらい。でも、そんなに甘くないですね。安く買った分、修理を必要とする箇所が多くて、結局修理代でちゃんと戻ってきました(笑)。じつは、今もドアのパーツが欠けてて。安全面上関係ないところなんですが、見た目が恥ずかしいので今パーツを取り寄せてます」
古いクルマと付き合うのは大変だが、彼女はなんだか楽しそう。

「プライベートでもよく運転するので、クルマに乗らない日はほとんどないです。そういえば以前、このW123でキャンプにも行きました。5時間ぐらいかけて、キャンプに詳しい人に勧められた新潟のキャンプ場まで行って、キャンプに詳しくない女友達4人でキャンプして。誰かここに詳しい人がいると、任せっきりになっちゃうので、“自力でやってみよう”ってみんなで色々と道具を持ち寄り……。そうそう、土鍋なんかも持っていきましたね(笑)」
好きなクルマを走らせ、気の許せる友達とのんびりドライブ。色々な場所に連れ出してくれる特別な空間が思い出をより一層、色濃く残す。

生活と仕事場は表裏一体。 でも、家はやっぱりどこよりも心安らぐ場所。

愛車とはうって変わり、広々とした印象の岡本さんのご自宅。リビング&ダイニングだけでも57平米あり、天井高はなんと5mもある。
「車移動が基本なので、仕事場を兼ねるために駅近などの立地条件よりも広さを重視。外の仕事がない日は、ここにアシスタントが来て一緒に仕事してます」
デスク代わりにもなっている『エスニクラフト』のダイングテーブルは、なかでもお気に入り。「以前住んでいたところより広くなったので、家具も新調しました」と部屋のサイズに合わせてこのテーブルをオーダーしたそう。

「以前までは、土日になるとクルマで山梨や箱根とか、ちょっとした旅行に出かけていたんですが、今はなかなか行けず……。おうち時間は、ここでドラマを観てることが多いですね。特に、昔の作品に最近ハマってます」
広いリビングがありながら、ソファーの前にちょこんと座る岡本さん。部屋とのバランスを考え、インテリアに大きなソファーやテーブルなどを取り入れているが、「結局、ここが一番落ち着くんです(笑)」とラグの上でくつろぐことが多いよう。

“自宅兼、仕事場”ということから、もっとモノで賑わっているかと思いきや、そんなことは全然ない。リビングにある観葉植物などはたまに撮影現場へ持ち出すこともあるようだが、全体的にスッキリしている。
「じつは、物置置き専用の部屋がもう一つあって。なので、リビングはごちゃごちゃしないよう、あらかじめ出すモノの量を決めているんです」

ワークライフバランスの維持に奮闘し、苦労している人は少なくない。特に、リモートワークが当たり前になった今、「家に仕事を持ち込むな」という考えは通用せず、多くの人がどう仕事と私生活にメリハリをつけるか、を考えるようになる。

しかし、岡本さんの場合はイイ意味で仕事と生活との境界線が曖昧だ。好きなクルマを仕事でもパートナーに選び、拠点となる家は仕事上の便宜を優先したというが、特別なデスクがあるわけではなく、お気に入りのテーブルで作業をこなす。明確な線引きがないからこそ、心地の良いワークライフバランスを送れているのかもしれない。

  • Photo/原田教正
  • Text/GGGC
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