松田ゆう姫|George Oceanをモチーフにした自己肯定感を高めるアートピースランプ
ヴォーカリストとして、タレントとして、女優として。そして、ときにはイラストレーターやグラフィック・アーティストとして。その才能をマルチに発揮し、独自の視点と感性によって各界で唯一無二の存在感を放つ松田ゆう姫。そんな彼女とLIFE LABEL/Doliveから生まれた家具制作プロジェクト「Who’s Props」がコラボレーション。彼女にとっても、人生で初めてのことだったいう家具制作。では、その体験はどのようなものになったのか。ランプ制作の裏側を訊いた。
- 松田ゆう姫(アーティスト)
- エレクトロニック・ミュージックユニット「Young Juvenile Youth」のヴォーカリスト。2012年に活動をスタート。2015年、iTunesが世界中のニューカマーの中から選ぶ「NEW ARTIST スポットライト」に選出される。同年リリースのミニ・アルバム『Animation』は、iTunesエレクトロニック・チャートにおいて最高7週連続1位を獲得。2021年より女優活動を本格的にスタート。「5時に夢中!」(TOKYO MX)では、水曜コメンテーターを務める。その他、グラフィック・アーティスト、イラストレーターとしてなど、多岐にわたって才能を発揮する。
- Instagram - @yjymusic
目指したのは「George Oceanの世界観を感じられて、かつアートピースにもなり得るランプ」
家具制作が決まったのは、LIFE LABEL・Dolive presentsのラジオ番組「What’s New FUN?」に松田ゆう姫が出演したのがきっかけだった。ゆう姫が生み出した、サメをモチーフにした架空のキャラクター・George Oceanを「家具にする」というアイデアが会話の中から飛び出し、George Oceanをイメージしたランプを制作することとなった。
もともと透明感のあるものやガラス、そして丸いものにも惹かれる傾向があったというゆう姫にとって、ランプ制作は好奇心をくすぐるものだったという。
「透明感のあるものが好きということには、Young Juvenile Youthの活動を通して徐々に気づいていきました。特に、以前美術家の三嶋章義さんとコラボレーションさせていただいたとき、三嶋さんが私の描いた自画像のイラストをモチーフに、主にアクリルを用いた作品を作ってくださって。その作品の存在も、透明感のあるものが好きだと改めて気づくきっかけになりましたね」
また家具制作を行うに当たって、ゆう姫にはもう一つ、ある思いがあったそう。
「日本のお家って、広さ的にアートを飾りづらい環境だと思うんです。絵画やアートピースを飾るにも壁が狭かったり、スペースが足りなかったり。George Oceanを作ったきっかけも、アートピースをもっと気軽に生活に取り入れられたら、という思いから。ランプなどの家具もまさにアートピースの1つだと思うので、George Oceanの世界観を感じられて、かつアートピースにもなり得るランプを作りたいと思ったんです」
そこでまず訪れたのは、長野県にある吹きガラス工房「STUDIO PREPA(スタジオプレパ)」。夫婦2人でデザインから製作まで、全ての行程を自身の手で行っているのが特徴だ。そんな「STUDIO PREPA」でのグラス作り体験を通して、ガラスの扱い方や、理想を形にする難しさを感じたというゆう姫は、作家の2人に“イメージ”を共有することを重視したそう。
「お二人とも普段作家として活動されている方々なので、私が『こうしたい』というよりも、『この人だったらどういうふうに作るのかな?』ということの方が重要だと思ったんです。なので、そもそも私がGeorge Oceanを作った経緯をお話ししたり、ランプの完成イメージをお伝えして、『やってみたい』と思っていただけるような伝え方を意識しました。お二人とも作家としてのベースがあるので、その人がやりたいと思ってくれないと、意味がない気がして。“その人なりのGeorge Ocean”を出したかったので、その人の『作りたい欲』をいかに燃やすことができるかが重要だと思いました」
室温50度ほどのガラス工房の中で、約2時間も続いたというその話し合い。その場にあった段ボールにゆう姫自身がイラストを描きながら、『優しい感じ』『まあるい空気感』など、イメージを言葉にして伝えていった。「一緒に良いモノを作るには、どれだけ分かり合えるか・友だちになれるかが重要」だと話すゆう姫。その日は結局、目指しているものが一致し、“完全に伝わった状態”で話し合いを終えることができたという。
「『STUDIO PREPA』さんでは、使い終わった空き瓶を再利用して作品にしていたりして、純粋にすごくいいな、素晴らしいなと思いました。そういう気持ちって絶対に相手に伝わるし、もはや『この人が作ったものならどんなものでもいいや』っていうくらい相手のことを好きになれたら、他はあまり関係ないという気もします」
アクリルのサンゴ、エラ、フォルム。細部にまでこだわりが
話し合いを終え、「STUDIO PREPA」の平勝久さん、瑞穂さんによって制作が進められたランプ。完成品を初めて目にしたときの感想をゆう姫に伺った。
「『これ、完璧だ』って感動しました。George Oceanには赤いサンゴがついているんですが、アクリル素材でそのサンゴまで作ってくださって。『まさかこれまでつけてくれるとは!』って、驚きました(笑)」
1回の話し合いを経ただけでほぼ完成品に近いものが届いたというので、やはり当日のゆう姫の感覚に間違いはなかったようだ。ゆう姫が「かなり再現性が高いですよね」と話すこのランプには、George Oceanのエラまで描かれているなど、細部にまでこだわりを感じる仕上がりだ。
「ガラスだけだと無機質になるから異素材を取り入れたいというのと、フォルムを丸くしたいというのも、話し合いのときに伝えました。制作に加わってくださった3D構造グループ・GELCHOPさんの作品も参考にさせてもらいながら、イメージを伝えていきました。上の白い丸い部分もいいですよね。アクリル素材のサンゴは、これ単体で飾ってもかわいいんです」
「それに、George Oceanの顔の部分をこのフォルムで表現してくれたのには、すごく納得しています。きっとすごく試行錯誤してくださったんだと思うんですよね。色合いも絶妙で、特に真っ暗な中で明かりを灯すと独特な色合いに光るのも気に入っています」
唯一無二の、自己肯定感を高めてくれるアートピース的ランプ
「家具制作は初めての体験でしたが、今後の自分の制作活動にも何かしらの影響を与えていくと思います。また、ガラスを加工するのも初めての体験でしたが、新しい体験ができて純粋にすごく楽しかったです。そのとき作ったグラスは触り心地がとても良くて。初めてだったので形はいびつで使いづらいですが(笑)、自分で作ったという背景もあるし、自宅でたまに眺めたりしています」
では、完成したランプはどんなものになったのだろう?最後に、ランプ自体の感想と今後の使い道を訊いた。
「究極的なことを言うと、アートって生活に必要ないかもしれないけれど、その物を愛でている自分がいいなって思うんです。物を愛でてそれが自分に戻ってこない(=影響を与えない)と、あまり意味がない気がして。このランプもその一つで、いろんな経緯があってこれを作って、今ここにある。“その感じ自体”が好きだし、『自分の気持ちが良くなる物』を置けるくらいの心の余裕が持てているっていう事実や、こういう物自体を通して自己肯定感みたいなものが上がる気もします。そんなふうに、総じていい気持ちになれるっていうことが、私にとって『空間作り』ということだと思います。
- Photo/Isobe Akiko、Hiroyuki Takenouchi
- Text/Nagisa Nasu
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- アーティストと特別なアイテムを作るプロジェクト。 美術(=Props)で作り上げる、映画や舞台の世界観のように、Propsで生活を彩れたらもっと暮らしは楽しくなる。特別なアイテムを通じて、新しい暮らしの楽しみ方を発信します。
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