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ミッドセンチュリーの時代に建てられた、アイクラー・ホームに憧れて。
CULTURE 2024.12.12

ミッドセンチュリーの時代に建てられた、アイクラー・ホームに憧れて。

1940年代から70年代。ミッドセンチュリーが花開いた時代に、カリフォルニアで人気を博したのがアイクラー・ホームだ。平屋で中庭があり、支柱と梁を基本構造とするその家は、いまもなお多くの人たちを惹きつける。そして、今回登場してくれる本田拓郎さんも、アイクラー・ホームに魅せられたひとり。念願叶って建てた家に詰まった、アイクラー的こだわりを聞いた。

INFORMATION
本田 拓郎(会社員)
本田 拓郎(会社員)
ほんだ・たくろう|1988年生まれ、千葉県出身の愛知県育ち。大学卒業後に金融関係の会社に就職。2023年に建てたマイホームで、妻の真由さんと愛娘である静瀬ちゃんの3人で暮らしている。同じ敷地内には真由さんの両親、祖父母の家もある。

平屋、中庭、少ない柱、剥き出しの梁。

「家を建てるなら、絶対にアイクラー・ホームのようなデザインにしたかった」

本田さんにそこまで言わしめるアイクラー・ホームとはなんなのか。まずはそこから説明していきたい。

1940〜1970年代にアメリカに存在した住宅メーカー「アイクラー・ホームズ」。建築家であるジョセフ・アイクラーを筆頭に設計された建売住宅はアイクラー・ホームと呼ばれ、おもにアメリカ西海岸でたいへんな人気を得た。

特に、ロサンゼルスに隣接するパームスプリングスの街には、いまもなお多くのアイクラー・ホームが残っていて、当時は数千万円で売られていた建物も、現在は数億円で売られているほどに人気が高い。かの有名なスティーブ・ジョブズも、アイクラー・ホームをオマージュした家に住んでいた過去があり、のちのアップル製品にも少なからず影響を与えたとされている。

そんな建物に憧れた本田さんは、実際にパームスプリングスにあるアイクラー・ホームを現地視察したこともある。そして2021年、マイホームを建てようとなったとき、真っ先に冒頭の考えにいたったのだった。

アイクラー・ホームの特徴は平屋で、中庭を通って家に入るっていうこと。そして柱が少なくて、天井の梁が剥き出しになっていること。よく言われてるのが、中と外の境が曖昧であることなんです。それをなるべく再現したくて、知人の建築士さんにお願いしました」

実は日本にも、アイクラー・ホームを模した建物を販売するハウスメーカーはある。けれど、そのどれもが自分たちの求めるものとは違った。終の住処になる場所だから、妥協はしたくなかった。そのため、1から10まで自分たちの思いが反映できるようにと、建築士にお願いしたということ。

そうしてできた家は、知っている人が見ればアイクラー・ホームだと瞬時にわかるほど、エッセンスがとりいれられている。平家、中庭、梁、大きな窓に太陽の光…。外であり、中であるその空間は、ただただいるだけで、心がほぐれていく。

家具屋さんではなく、大工さんの造作で予算を節約。

本田家の玄関はすりガラス&木製の扉。ここを抜けると待っているのは、家の象徴というべき中庭だ。天井は抜けている。その庭からもうひとつ扉をくぐると、室内へと繋がっていく。

各部屋は中庭と接するようコの字に配されていて、そこに向かって取り付けられているのは透明なガラス。要は、中庭からリビングも、寝室も、洗面所も見渡せるということ。中庭は外であり、中であるということだ。

また、中庭にはビンテージの椅子と植物が置かれていて「ここで、ほっとひと息つくのが最高なんです」と本田さんはいう。

中庭を通りもうひとつの玄関をくぐると、リビングがどーんと広がっている。大きな窓と高い天井は、えもいわれぬ開放感を与えてくれる。

ここのこだわりのひとつが、浮島のように備え付けられた棚だ。

「シューズクローゼットと間違えられるんですけど、ここには書類や細々したものが入っています。これも家を建てる際に、海外の建築を調べるなかで同じような作りのものを見つけて、いいなと思って。ちょっとした目隠しにもなるし、壁っぽいけど上は開いていて閉塞感もないんです」

この棚しかり、リビングの角に造作したダイニングのベンチしかり、すべては大工さんがやってくれたという。家具屋にお願いするケースも多いなか、大工さんが手がけたのには理由があった。

内装で1番意識したことが、新築っぽくなりすぎないことだったんです。ラフさを残したかったんです。だから造作したものは、ちょっと粗野な感じが欲しかったんです。だから大工さんにお願いしました。家の中の壁もパテを引いたりクロスを貼るのではなくて、白いペンキで塗っただけなんです」

大工さんにお願いしたことは、自身が表現したい雰囲気に仕上がることに加え、予算も浮いて一挙両得だった。「白い壁は汚れが目立つのでは?」と不安になる人もいるかもしれない。でも答えは簡単、汚れたら白のペンキを上塗りするだけ。

メリハリが効いた、こだわりの家具と雑貨。

そうして浮いた予算をどこにあてがうかというと、本田さんの場合は家具だった。

リビングをはじめ、各部屋にはこだわりの家具や雑貨が置かれている。
「いわゆる名作みたいなのはあまりないですけど、この家でいちばん気に入っているのはリビング壁面につけた棚です。『Vitsoe(ヴィツゥ)』というイギリスの家具メーカーが製造している棚で、デザインしたのはドイツのデザイナーであるディーター・ラムス。わざわざイギリスから取り寄せて設置しています。家を作る計画の初期段階から、これは入れたいと思ってたんです」

ほかにも、ランプはイサム・ノグチであったり、北欧のヴィンテージものだったり、旅行好きだった真由さんの祖父から拝借したアジアやアフリカのものだったりがキレイに陳列されている。

洗面所もちょっと変わっている。陶器のシンクの下は、北欧のヴィンテージの棚。こちらも大工さんにお願いし、高価な棚だったにも関わらず排水管のための穴をあけた。

この棚は、車のガレージのように扉を上にあげて使うもの。ただ、排水管を通したがために、半分くらいしか開かない。北欧の家具を資産として持っている人も少なくないけど、リセールせずに一生使うことを腹に決めれば、ここまで思い切れる。

家づくりをする上で、もうひとつ意識していることがあると本田さんは言う。

「アメリカンっぽくなりすぎないようには注意してますね。そっちに寄りすぎてしまうと、どうしてもチープに見えてしまうというか。とはいえ、ぼくは黙っているとアメリカに吸い寄せられるので、妻に逐一、審査してもらってるんです」

真由さんは、長いことアパレルの世界にいたこともあり、審美眼に長けている。最終ジャッジはいつも真由さん。2人の感覚が入り混じった空間は、ギャラリーのような高級感が漂っている。

これからも続く家づくり。

さて、先述したように、本田さんの家は建築士にお願いして建てられているのだけど、その準備は楽しい反面、たいへんだったという。

間取りや使用する建材、内装などなど、計画と準備に多くの時間を費やしたという。けれど「LIFE LABELの家づくりアプリ」があれば、簡単に自分だけの家を作ることができる。見積もりも緻密にできるため、予算管理も難しくない。

「ぼくらは作りたい家が明確にあったので建築士さんにお願いしましたけど、そこまで明確なイメージがないのであれば、このアプリのほうが簡単ですし、時間もとられない。イメージもしやすくていいですね。それと、ぼくらが家づくりで参考にしたのは、おしゃれな人たちの家の画像だったんです。このアプリも、ほかの施主さんたちの画像が集約されていて、検索すればピンポイントでその場所の画像がずらっと出てくる。家を作ったあとも参考になるからいいですね。まったく違う家に住んでいたとしても、家づくりのヒントが眠っていそうです」

本田さんたちも住んで1年で、まだまだ道半ば。これからアップデートをしていく上で、「LIFE LABELの家づくりアプリ」が参考になってくれたらうれしい。

いま、家の前にある広い庭では、真由さんがハーブを育てている。その庭と接するようにして、真由さんの両親と祖父母の家があり、毎日顔を合わせている。

ちょっと先にはご近所さんの畑があり、お米や野菜などは頻繁にお裾分けされる。

都心で、こうした生活環境を構築するのは難しいもの。田舎暮らしは利便性はないかもしれないけれど、心と生活を本当に豊かにしてくれる。

静瀬ちゃんがもう少し大きくなったら、4世代の家族を集めて、ここでBBQをする予定だ。

  • Photo/Sana Kondo
  • Text/Keisuke Kimura
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