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植物と共にのびやかに。創作意欲をかき立てる、庭付き平屋の一軒家。
GREEN LIFE 2024.07.04

植物と共にのびやかに。創作意欲をかき立てる、庭付き平屋の一軒家。

共にフラワーアーティストとして活動する璃恵さんと元気さんの住まいは、庭のある平屋。敷地には緑が生い茂り、庭には2人が耕した畑まで。植物と隣り合わせたような住環境で、アーティストである彼らはどんな生活を送っているのか、訪ねてみた。

INFORMATION
野上 璃恵/田中 元気(フラワーアーティスト)
野上 璃恵/田中 元気(フラワーアーティスト)
のがみ・りえ/たなか・げんき|2人がそれぞれに活動し、空間装飾から撮影装飾、さらにはインスタレーションまで、植物を用いたあらゆるクリエイティブを制作。共に持続可能な循環型システムをデザインするパーマカルチャーの資格を持ち、庭で野菜を育てながら神奈川県藤沢市の平屋に暮らす。

畑を耕しながら暮らす。20代アーティストの住まい選び。

璃恵さんと元気さんは、フラワーアーティスト。植物を素材に作品をクリエイトする彼らが暮らすのは湘南の辻堂エリア。街のそこかしこに緑の景観が広がり、住まいから海までは徒歩15分ほど。共に20代のお2人は自然豊かな環境に惹かれ、庭付きの平屋での生活を営んでいる。

「暮らしの拠点としてここを選んだ理由は、本格的な土いじりができるから。実は前に住んでいた物件も“屋上菜園可”という触れ込みだったんです。でも、僕たちが考える家庭菜園と当時の大家さんが想定していた家庭菜園には、ずいぶんと乖離があったようです。屋上に土を入れて畑にしようとしたところ、NGを出されてしまって(苦笑)」

現在の住まいでは、畑を耕すことも大歓迎。畑から顔を出した野菜の苗がすくすくと育ち、庭には生き生きと枝葉を伸ばした樹木たち。その樹木がまるでパーテーションのように、隣家との境をゆるやかに区切っている。

植物は“地球が生んだ芸術品”。創作意欲がわき立つ土間空間。

「植物を眺めていると癒されもするし、いろいろな考えが巡りもします。同じ品種であっても、葉っぱの形も枝の伸び方も、花びらの色のちょっとしたニュアンスも香りも、ひとつとして同じものがないのが植物。どれもが本当に個性的で、まるで地球が生んだ芸術品ですよね。そんな植物を見ていると、創作意欲を掻き立てられます」

そう話してくれた璃恵さんの言葉が物語るように、2人の自宅は植物を眺めるのにぴったりの造り。土間の玄関と庭がフラットにつながり、開放的な窓が切り取るのは、庭に広がる緑豊かな景色。住まいの内装も手触り感あるウッドを基調に、部屋の随所に植物が飾られ、そのディスプレイ場所を決めるのは元気さんの役目。

「自然物だからこそ、ですよね。部屋のどこに飾るかによっても、枝や葉っぱの伸び方や付き方が変わってくるんです。天井の梁にセットしたツル科の鉢植えなんて、その代表例。窓際に置いていたときはツルが横に伸びていたのが、今では下に垂れ下がるように伸びていて。そうした植物の生態を知る意味でも、部屋に緑は欠かせません」

のびやかな平屋には、オンとオフがゆるやかに同居する。

自由に枝葉を伸ばす植物に創作意欲を刺激される2人にとって、この住まいは暮らしの場所であるのと同時に制作の場所。生み出されるのはフラワーアートに限らず、何を隠そう、リビングの壁に飾られた大きな絵画は璃恵さんの作品。色彩豊かにペイントされたフラワーベースも、彼女が気ままにDIYしたものだとか。

「寝て起きて食事をして、制作をして、たまに昼寝をして、土いじりをして。以前は都内に住んでいましたが、この場所に引っ越してきた今は窮屈さがなく、本当に気ままです。お隣さんもお向かいさんも僕たちがフラワーアーティストとして活動していることを知っているから、制作のために音を立てても大目に見てもらえるんです(笑)」

2人の住まいは、ロフトを備えた1LDKの平屋。ナチュラルなウッドとシンプルな白壁が織りなす平屋は、実際の間取り以上に開放的。それだけに、元気さんが制作した巨大なフラワーアートを置いても何のその。そして、広くとられた土間の玄関はダイニングとしても、制作のスペースとしても機能し、オンとオフがゆるやかに同居する。

都会と程良く距離を保ちながら、暮らしと制作が地続きに。

「東京と比べたら、辻堂は田舎です。でも、東京との距離の分だけ、オンとオフの切り替えがしやすくなったし、その反面、のびのびと制作に没頭できることから、仕事と暮らしが一体化している感覚もあります。それに何より、自由に土いじりができる環境は最高。なぜなら、自家栽培の野菜って、ビックリするくらいにおいしいんです(笑)」

都心から程良く距離を保った平屋での暮らしはのびやかにしておいしく、アーティストとして活動する2人の原動力になっている。

  • Photo/Dai Yamamoto
  • Text/Kyoko Oya
LL MAGAZINE