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コンクリート×無垢材リノベ。自然とほど近い、郊外ライクな暮らし。
OUTDOOR 2024.01.18

コンクリート×無垢材リノベ。自然とほど近い、郊外ライクな暮らし。

大阪の都心部から離れたベッドタウンで、フルリノベーションの一戸建てに暮らす村城さん夫妻。無垢材を取り入れたやわらかな風合いの空間を薪ストーブがやさしく温め、広い庭ではニワトリたちが闊歩する。いかにも郊外らしい暮らしを市街地で築きあげ、昔なじみとキャンプや登山などの外遊びを楽しむ2人。そんな2人の暮らしにお邪魔した。

INFORMATION
村城 悠さん/紗世さん(会社員)
村城 悠さん/紗世さん(会社員)
むらき・ゆう/さよ|学生時代のアルバイトで出会った悠さんと紗世さん。2017年に中古の一戸建てを購入し、会社員として勤める傍らフルリノベーションに着手。互いの“好き”をセンスよく詰め込んだ家をコツコツと作り上げ、夫婦+ニワトリ3羽で暮らしている。

地元で見つけた、外遊びを楽しむ2人にピッタリな庭付き一戸建て。

ともにこの街で育った村城さん夫妻。結婚後しばらくは賃貸の一戸建てに暮らし、理想に叶う物件を探す日々。じっくり時間をかけ、リノベーションをするのにピッタリな庭付きの一戸建てに出合い、2017年から改装に取り組んだ。

「本当はちょっと山の方に行きたくて、物件はかなり探しました。けど、お互いの職場と実家からあんまり離れすぎても...というのもあって」と2人の住まいは家々が建ち並ぶ住宅街にある。1階にLDKと大容量のストレージ収納、サニタリー。2階にはゆとりのある部屋が3つとシームレスなクローゼット、そして広々としたテラス。庭も広く、夫婦で暮らすには十分な間取りだ。

無垢材を基調にした室内には、大小さまざまな植物がところ狭しと同居している。庭ですくすく育つ木々のすき間からこぼれる光と薪ストーブの炎があたたかく、時が穏やかに流れていく。

セルフリノベにも挑戦。“好き”を追求した家づくり。

それぞれに個性のある大きな窓が印象的なLDK。中でもひときわ大きなフィックス窓と無垢材の造作棚が目をひくダイニングは、扉を設けずキッチン・リビングとひとつづきに。

「一旦スケルトンにした時に、残して格好よさそうなところは残そうという話になって。じゃあどこを残して、どこに手を加えようかと考えることからスタートしました」元からあったむき出しのコンクリート壁が、木のぬくもりとの絶妙なコントラストを生み出している。

予算やスケジュールの中で思い描いた家を実現する方法を、設計士とともに模索。現実的な制約と理想のバランスをうまく取ることができたのにはもうひとり、欠かせない存在がいたようで。

「中学校時代の同級生が大工で。なんでも言い合える仲のいい友達なので、工務店さんにお願いして特別に大工として呼んでもらいました」と紗世さん。
予算を抑えるため、夫妻が自ら床を張り壁を塗ったところも。友達相手なら分からないことも気軽に相談できる。地元ならではのつながりもあって叶ったのが、2人の“好き”を詰め込んだ住まいというわけだ。

時間をかけて大切に育まれた、広く多彩な趣味たち。

この家に詰め込まれた“好き”とひとことで言っても、その幅は広く、多彩だ。家のいたるところで陽を浴びる植物は悠さんの趣味によるもの。

友人からもらったという鉢植えがたっぷりスタンバイしているところを見ると、村城家の緑化はまだまだ進みそう。いつかテラスに温室をつくるのが夢だと話す。

さらに玄関の目の前に設けられたウォークスルーの収納スペースには、2人でキャンプに行くようになって以来、10年近くをかけてコツコツ買い揃えたギアが並ぶ。

「仲のいいバイト先だったこともあって、毎年夏にみんなでキャンプに行ったりして遊んでいるうちに、悠さんの趣味に引っ張られてキャンプにハマりました」と振り返る紗世さん。

ほかにも、バンドを組んでいることから楽器やレコード、そしてカメラなど多彩な趣味を悠さんが時間をかけて大切に育んできたことが丁寧なディスプレイに表れている。

「スピーカーは祖父が使っていたものを父が受け継ぎ、今は僕が使っています」と、もはや趣味という言葉では表しきれない大切な記憶が、家のそこかしこにあふれている。

気に入ったものは長く使う。「経年変化を楽しむ」がコンセプト。

もちろん、キッチンにも2人の“好き”が散りばめられている。器好きな紗世さんは、気に入ったものを少しずつ集めているのだとか。

「何を買うにしても、だいたいは『どう思う?』って2人で相談して決めるんですよ。でも、植物は悠さんで器は私の担当。そこはお互いが気に入ったものをそれぞれの判断で買います」

紗世さんお気に入りの器がすっきり収まったキッチンに、悠さんが大切に育てるグリーンが彩りを添える。

どこを切り取っても絵になるのは、「外に出していて嫌じゃないものを選ぶ」という基準が2人のベースにあるからだろう。かつ経年変化を楽しむことがコンセプト。飽きのこないデザインで、長く使うほどに味が出るものを選んできたことで、全体がうまく調和している。

暮らしにかける手間ひまを惜しまず、楽しむ。

互いの“好き”が詰まった、穏やかでぬくもりにあふれるこの家で、2人は映画や音楽を楽しんだり、次はどんなものを買おうかと思い浮かべたり、ゆったり時を過ごす。意外にも堅い仕事をしているというから、オンとオフをしっかり切り替えられる暮らしがちょうどいいようだ。

「バイト時代からの友達がすぐ近くに住んでいるので、よく遊びにきてくれるんです」

居心地よくしつらえられた、家族や昔なじみと過ごす空間。ストーブに焚べる薪を調達しに山へ行くのもいとわない。幼いころから家族でキャンプや川遊びへ出かけ、なんでも作ってしまう器用でマメな父の姿を見てきた悠さんは、自然との心の距離が近い。

暮らしに手間ひまをかけるDNAが、しっかり受け継がれている。

好き”を実現できる、自由な発想を詰め込んだ家に。

手間ひまをかけることをどこか楽しんでいるような2人の暮らし。それが見て取れるのは、家の外でも。庭で暮らすのは3羽のニワトリ。大阪府内の牧場で孵化した「岡崎おうはん」のヒナを譲り受け、約1年半で今や立派な雌鶏に育った。ちなみに名前は全員「ぴーちゃん」。

おたけびをあげて毎朝産み落とされる卵は、日々の食卓にならぶのはもちろん、ご近所さんにもおすそ分け。なるほど、住宅が密集する土地でニワトリのいる暮らしが成り立つ理由が垣間見える。

養鶏をはじめ、キャンプ、グリーンといった趣味から、2人の自然とのちょうどいい距離感も感じられる。市街地らしくない形で、自由に暮らす楽しみを実現したこの家。やりたいことは全部やり尽くしたかというと...?

「実はそのうちガレージを建てたいなと思ってるんです」と悠さん。

庭の片隅に張ったテントは、あくまで仮設。中には5台ものバイクと自転車3台がぎっしり。とめどなくあふれる家づくりのアイデアは、とどまるところを知らない。「ぴーちゃん」たちの小屋を図面もなくひとりで作ってしまった彼なら、きっとわけもなく建ててしまうだろう。

思い描いた暮らしを市街地で叶えようと手間ひまをかける2人の家づくりは、まだまだ続く。

  • Photo/Chie Kushibiki
  • Text/Myakuko Myaku
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