- 平田 一真さん(FREAK’S STORE ライフスタイル バイヤー)
- ひらた・かずま|人気セレクトショップで主にアウトドアギア、雑貨のバイイングを担当し、新たなトレンドになり得るアイテムを求めて日本各地を飛び回っている。2年前までは“The Camp”FREAK’S STOREに勤務し、名物スタッフとして親しまれていた。プライベートでもキャンプを楽しむ27歳。
- Instagram - @hirata_kzm
放置するならセルフリノベして自分の家に。
およそ築27年、木目調のエアコンやタイル張りのキッチンなど、随所に昭和平成の面影が残る平田さん宅。元々は大好きだった母方の祖母が住んでいた。
「僕と両親、父方の祖母が暮らす実家の裏にあり、小さい頃から年中遊びに来ていた馴染みの家。おばあちゃん子だったんですよ」
中学生のときに祖母が亡くなり、しばらく空き家となっていたが、放っておくくらいならと平田さんが借り受けて7年前から住みはじめた。
「ちょうど20歳になった頃。独立するいいきっかけだったかも知れません」
平田さん自身がDIY好きなのも手伝い、少しずつセルフリノベーションして、現在のアメリカンハウス感覚のインテリアに仕上げていったそう。砂壁や食器棚、和室、襖……。決して嫌いじゃないものの、平田さんが住むには昭和感の強い要素を、自分ひとりで変えられる分だけアレンジ。
「プロの手を借りるほどガラリとチェンジさせたい訳じゃないので。やっぱり根本は祖母と遊んだ家であってほしいんです」
それでも極端に古臭く見えないのは、随所に光る小物使いのおかげ。キャンプで使うスキレットやカップ、ギアボックスなどを見せて収納し、インテリアとして活用している。大幅なリフォームをせずともUSライクな雑貨を使うことでその雰囲気が漂うように。
「木製の食器棚は祖母が使っていたもの。ガラスの引き戸を外すだけで、イイ感じにラフな収納になってくれました。水まわりには存在感あるラグを敷き、使い込んだ床が見えないよう工夫を」
背伸びせず、できる範囲で自分好みに。
セルフリノベでもっとも注力、苦労したのが庭に増設したウッドデッキ。約1ヵ月かけて一気に完成させた。
「以前は祖母のガーデンニングエリアだったんです。でも、亡くなってからはほとんど手付かず。何年も荒れ放題でしたから、草を刈って木は抜いて。平地にすることからスタートなので本当にキツかった!」
必要な道具は建築に携わる職人である父親から拝借。材料もショップ改装時に出た廃材で。
「プロの道具をプロに教わって使え、木材までタダだったのは大きなアドバンテージ」
お気に入りにして最大の難所であったこの場所も、今では仲間とのバーベキュー会場として毎週のように活躍している。
内装の主なアレンジポイントは壁。昭和感強めな柄入りの白壁紙や砂壁の上から、リアルなウッドプリントのウォールペーパーを貼り付けた。時間さえあれば特に難しいことはなく、材料はすべてホームセンターで揃うのだとか。
壁に固定したスノコにはフック代わりの釘が打ち付けてあり、鍵やポーチ、アクセサリーといった外出のお供を吊り下げ。普段は服装のアクセントとして使っているアイテムをインテリアとしても活用した好例だ。
「オシャレな逸品が手に入りやすい職業。関係者からプレゼントされる機会も多く、ショップで扱わなくなった什器類をたくさんいただけたのはラッキーでした」
随所に配されているネイティブ柄もインテリアのキー。ラグ、クッション、ブランケットなどのファブリック類だけでなく、一部の襖まで民族調に。
「小さな襖には矢羽柄をガムテープで描きました。直線的なグラフィックだから、絵心なくても可能だと思いますよ」
部屋のアクセントには船大工だった祖父の作品である、緻密な船の模型を。
大量の趣味アイテムはひと部屋使って収納。
アウトドア好きの共通した悩みが、居住空間を圧迫するギアたち。平田さんは多趣味なうえ衣装持ちでもあり、なおのことスペースが必要なため、和室ひと部屋を丸々収納に充てている。
「キャンプだけでなくスケボー、スノボー、サーフィンと横乗り系も大好き。すべてが大きな道具を使う以上、どうしたって押し入れじゃ間に合いませんし、キレイに収納するのだって難しい。ならば、アメリカンに寄せにくい畳の部屋を巨大なウォークインクローゼットにしてしまおうと」
細々としたアウトドア雑貨は不要になったコットやスツールを駆使して整理し、洋服収納には木製ラックをDIYで製作した。
趣味のギアたちをあえて閉じ込めず、ディスプレイ的に並べているのは収納問題のせいだけではない。
「例えばキャンプだったら、僕が行くのは年間20泊ほど。使っていない間は正直ギアがもったいない。でも、家の中で見える状態にしておけば気分が味わえて、インテリアのアクセントにもなります」
デザイン秀逸なアウトドアギアだからこその有効活用ともいえる。
まだ未完成。今後はよりカリフォルニアっぽく。
30年近く昔に建てられた日本の平屋を、アメリカンハウス風に蘇らせた平田さん。
「別にお金をかけたわけではありませんが、納得いく自宅になったと思います。でもまだまだ過程で、今後はもっとカリフォルニアっぽく、くつろげるスペースにしたいなと。まぁ、どこかにおばあちゃんの家と感じさせるポイントは残しますが(笑)」
「FREAK’S HOUSE」が叶えるアメリカンローカルハウスの暮らし。
平田さんのようなマイホームに憧れる人はきっと多いはず。
LIFE LABELが手掛ける平屋「FREAK’S HOUSE」なら、カリフォルニアの空気を纏った暮らしが実現できる。インテリアだけでなく家そのものにこだわれば、きっと愛着もひとしお。
手を加えるほどアイデアが湧いてくる。趣味人にとってワクワクする家とは、自分の手で空間を作り込んでいくものなのかもしれない。
- Photo/Hiroyuki Yamada
- Text/Sachio Kanai
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