愛犬とヴィンテージ家具、好きなものを諦めない家。
一見海外のような雰囲気の自宅で愛犬2匹とともに暮らす、ヴィーガンビューティサロン&カフェ「whyte」の代表、浜本忠勝さんとディレクターの中島潮里さん。動物と暮らす人がぶつかりがちな、愛するペットとの生活と好きなインテリアの両立という壁をするりと超えて、愛犬にも人にも心地よい暮らしを実現した2人の家。そのコツを伺うべく、都内のご自宅を訪ねました。
- 浜本 忠勝さん/中島 潮里さん
- はまもと・ただかつ/なかじま・しおり|それぞれ都内のヘアサロン勤務を経て、2018年、仲間4人で原宿にヴィーガンビューティサロン&カフェ「whyte」をオープン。ヘアサロンの枠を越えて、環境のことだけでなく、心も身体もサスティナブルに、より自然に生きていくためのライフスタイルをさまざまな形で提案している。浜本さんは代表、中島さんはディレクターを務める。
- Instagram - @whyte_hamamoto
愛犬との暮らしを叶える理想的な部屋との出合い。
ヴィーガンビューティとサスティナブルをコンセプトに掲げる原宿のサロン&カフェ「whyte」で代表を務める浜本忠勝さんとディレクターとして活躍する中島潮里さん。2人が暮らすのは、都内のメゾネット住宅。もともと大の犬好きな2人が愛犬と暮らし始めたのはちょうど4年前のこと。2匹目を迎えるために、この部屋に引っ越した。
一緒に暮らすのはミックス犬のマレくん4才(写真右)、ダルメシアンのアモちゃん3才(写真左)の2匹。
信頼できるブリーダーさんから譲り受けたマレくんと暮らし始めて1年後、もともと実家でも大型犬と暮らしていた中島さんの願いもあって、アモちゃんを迎えることに。
「都内で、2匹、かつ大型犬が飼える部屋を探すのはなかなか難しかったのですが、不動産屋の紹介で出合ったこの部屋は、海外のような雰囲気の外観や内装デザインをひと目で気に入りました。1階がキッチン・リビング、2階が寝室とバス・トイレというメゾネットなのもいいなと思って」と内見後、即決したという。
アメリカンヴィンテージをテーマに、こだわりを散りばめて。
すっかり愛犬が暮らしの中心になっている2人。動物と暮らすとどうしても置くものや家具の配置を制限されたり、ディスプレイが控えめになったりと、諦めることも出てしまいがちだけれど、インテリアが大好きな浜本さんは、愛犬の暮らしやすさも考えながら、上手にバランスを取り、存分に楽しんでいる。
もともと窓の格子やテラス、ドアノブや棚などの建具も海外のような雰囲気が素敵なこの部屋は、浜本さんの好きなアメリカンヴィンテージテイストの家具や雑貨ともマッチ。センスあふれるインテリアは、SNSで海外のインテリア写真を参考にすることが多いという。
「すっきりとしたモダンなスタイルより、温かみや味わいのあるアメリカンヴィンテージの雰囲気が好きです。好きな物に囲まれてごちゃごちゃしている感じも不思議と心地よくて。ミニマリストではないので、物がどんどん増えてしまいます(笑)」。
手すりのデザインが印象的な階段横には、白い壁に映えるオレンジ色の棚。「SNSで見た海外インテリアの写真で、色がついた棚板をよく見ていていいなと思っていたんです。コロナ禍に自分で板をオレンジに塗って取り付けました」と浜本さん。飾り棚としても空間のアクセントとしても活躍している。
棚だけでなく、床やカーテンレール、階段にも、浜本さんが好きで買い集めたレコードがずらりと並ぶ。「音楽も好きですが、レコードはインテリアにもなるのでジャケットが気に入って買うことも」と植物やレコード、ギターなどさまざまな物が雑多に混在する空間には、こだわりとセンスが随所に散りばめられている。
最近海外インテリアのなかでも注目しているのが、スパイス的に和テイストをミックスすること。浜本さん宅もイサム・ノグチのAKARIのスタンドライトを取り入れている。
「いろいろなテイストを混ぜていく感じが好きなんです。生活感のないすっきりとしたインテリアにも、モダンなインテリアにも憧れはあるんですが、いいなと思いつつ、今の僕らにはこういう方が合ってるのかなと」
ルールは決めず、愛犬と好きなインテリアを上手に共存。
こだわりのインテリアと愛犬との心地いい暮らしを両立するためのコツやルール。それは、「犬がいるから、これはできない、してはいけないみたいなルールは設けないようにすることですね。意識しているのは、愛犬たちが落ち着ける場所を作ってあげることくらい」と浜本さん。
インテリアにこだわりたいけれど、ペット用品を置くと雰囲気が崩れてしまうというよくある悩みも、インテリアに馴染むデザインのクッションや水飲み場をセレクトしたり、メゾネットの間取りを活かしてトイレなど大きなペット用品は2階に置いたりして解消している。
また、運動量の多いアモちゃんのためにも、できるだけ自由に動き回れるスペースを確保することも意識した。キッチン・リビングにある大きな家具は、ソファとテーブルがわりのキッチンカウンター、椅子のみ。物も床に置いたり壁際にまとめたりして、広いスペースをとっている。
「以前はローテーブルを置いていたんです。ただテーブルが低いと手が届いてしまい、いたずらや誤飲の原因になりやすい。だから、キッチン横に高さのあるコンパクトなテーブルを配置しました。今の方がスペースも広くとれるので、動き回りやすくなって楽しそう。インテリアもすっきりまとまりました」
また足腰に負担がかからないように、ラグを敷いたり、階段にすべり止めを貼ったりして、最低限の安全もきちんと考えている。
愛犬も人もくつろげるリビングが、暮らしの中心。
愛情をたっぷり受けて育った2匹。「アモは、撫でてもらうのが大好きな女の子。天真爛漫で元気いっぱいです。マレはツンデレで猫みたいな一面もあって、トレーナーさんにもちょっと変わっているって言われます(笑)。人の会話がだいたいわかっているし、空気読むところもあります」と2匹は家族同然のようだ。
仕事がある日は留守番の時間が長いので、休日や自宅にいる時はできるだけたくさんスキンシップを取るようにしているそう。「床やソファで一緒にゴロゴロしながらくつろぐ時間が毎日の癒しです」
家にいる時は、ほとんどの時間をリビングで過ごすという2人。「私も床で過ごす方が好きだし、その方が犬たちとの距離も縮まっていい」と中島さん。
特に2匹のお気に入りの場所は、たっぷりと太陽が降り注ぐ窓側に置いたベッドの上。「最初は違う場所に置いていたのですが、ここに置いたらよく日向ぼっこをするようになって。最近の定位置になっています」。
天気がいい日は人工芝を敷き詰めたテラスに出て、気持ちよさそうにのんびりとくつろいでいるそう。
愛犬もインテリアも諦めない。みんなが心地よく暮らすために。
「2匹がもっと小さい頃は今よりいたずらも多くて、置いてあるものを壊してしまうこともありました」そう振り返る浜本さん。
「でも、何かあったらその時考えようというスタンスです。最近ドッグトレーナーにトレーニングをお願いしているんですが、かなり落ち着いてきて、留守番中もいたずらはしないですね。僕たちも犬とのコミュニケーションの取り方を教わっているので、いたずらしても怒るのではなくコミュニケーションでうまくケアできるように工夫しています」
愛犬にとっての心地よさも、大好きなインテリアも諦めない、2人の暮らし方。実際のところ犬の気持ちはわからないけれど、2匹のリラックスした仕草や表情が、ここでの暮らしの心地よさを物語っている。
- Photo/Yuki Nobuhara
- Text/ Hitomi Takano
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