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デザイナー由来の色彩感覚から生まれた、ヴィンテージ×カジュアルの組み合わせ。
FASHION 2024.05.02

デザイナー由来の色彩感覚から生まれた、ヴィンテージ×カジュアルの組み合わせ。

「やっぱり好きなものに囲まれたい!」そんな純粋な思いを実現するために、新築の建売住宅を思い切って自分好みにリノベーションする決断をした森さん。デザイナー時代に培った感覚を生かしてできあがったのは、カラフルでポップながらも、こだわりと愛情の詰まった落ち着く住空間だった。

INFORMATION
森 理保子(元アパレルデザイナー)
森 理保子(元アパレルデザイナー)
もり・りほこ|以前は横浜のマンションに住んでいたが、娘さんが大きくなるタイミングで引っ越しを検討。現在の住まいには2023年夏前に契約し、1ヶ月のリノベーション期間を経て入居。家族揃って大のディズニー好きで、アニメを見たり、テーマパークの冊子を読むのがお気に入り。

リノベーションで、いかに「建売っぽさ」から脱却できるか

森さんが、この家に越してきたのは昨年夏頃のこと。娘さんが歩けるようになって、改めて子育てのためにも広くて環境の良い場所を探して引っ越しを決めたそう。

「このエリアには縁もゆかりもなかったのですが、私の地元になんとなく空気が似ていて、居心地がよく感じました。海にも近いけど、程よく都心にもアクセスがよくて、ちょうどいいなと。「肉屋」や「魚屋」といった個人店が多いのもポイントでした」

「いろんな条件やこだわりを不動産屋に相談するなかで、戸建住宅をリノベーションするという選択肢があるとわかりました」と話す森さんが選んだのは、2階建ての売り物件。リビングの広さは活かしながら、気になる和室や水回りは思い切ってリノベーションすることに。

リノベーションをするにあたり、森さんが注力したのが「建売っぽさ」からの脱却だった。特に、プレイルームは最もこだわった部分。もともと和室だったこの部屋は全面フローリングにリノベーション。襖部分も大胆に壁を壊して、R開口にリデザイン。さらに、その横にもアーチの小窓を配置している。

襖を取り払うことで空間の区切りがなくなり部屋全体が広く明るくなったほか、娘さんが遊ぶ姿が目に届きやすいという効果も得ることができた。

もう一つ「色」にもこだわったという。
「アクセントクロスもおしゃれだなと思ったのですが、やっぱり長く住んでいたら飽きてしまうと思って、壁紙や水回りのタイルなどはすべて白に統一するようにしました。白の塗り壁風のクロスは気に入っていますね」

美術館のギフトショップや、デザイン会社が手がけるグッズをこまめにチェックして収集した小物を無造作に配置してもプロダクト同士が喧嘩しないのは、シンプルな白い壁だからこそ。

なにより、白だからこそ叶えられたのが、壁をスクリーンにした大画面のプロジェクター投影だ。使用しているのはポップインアラジン。シーリングライトとの一体型で、天井に取り付けるだけでプロジェクター投影ができる。

「天井に取り付けるタイプのプロジェクターなら圧迫感もありませんし、壁に投影するので娘が液晶やスクリーンに触って汚れてしまう心配もありません。空間の邪魔もしなくて、おすすめです」

元アパレルデザイナーだからこその色彩感覚

リビングを彩るのは、オレンジ、赤、ブルー、グリーン、イエロー、ブラウンと、カラフルでポップな配色のインテリア。色味だけでなく、モチーフやパターンもユニークなものばかりで、まるでインテリアショップのディスプレイを見ているような気持ちになる。

「当初、インテリアは淡い色の方が飽きなくていいかなと思っていたんですけど、私が好きなのははっきりした色のものばかり。毎日の暮らしはやっぱり好きなものに囲まれたいなと思って」

そう話す森さん。じつは、以前は大手のアパレルでデザイナーとして活躍していた経歴がある。

「毎日のことだから、好きなものを身につけたい!」という思いは、ファッションにも通じる部分があるのかもしれない。値段やデザインに妥協して好みではないものを手に入れても、最終的には本当に欲しかったものを買っていた、なんていうことはよくある話。「だったら最初から、本当に欲しいものを買ったほうがいいですよね」と、森さんは言う。

ダイニングテーブルはオランダのインテリアブランドZuiver、ダイニングチェアはイームズやSTOKKEなど、異なるアイテムを4脚セレクト。照明はレ・クリントのブーケ5、蚤の市で出会ったハングイットオール、静岡で見つけた飾り棚など、森さんのこだわりのインテリアに囲まれた空間。

とはいえ、全部がハイブランドやヴィンテージ品というわけではなく、リーズナブルなブランドも上手にミックスしているのが森さんの工夫。おかげで、軽やかで遊び心のある印象を残しているようにも感じる。
たとえば、日用品を収納しているIKEAのメッシュラックやHAYのBOXは、あえてはっきりした色味を組み合わせることで、収納ボックスそのものの生活感を薄めている。

ちなみに、部屋のあちらこちらにある編み物は森さんお手製のもの。「誰かと被ってしまいそうなインテリアでも、こうやって手作りのものと組み合わせたら、オンリーワンのインテリアになるんです」と言うように、一見すると無機質な印象になりそうなインテリアも、手作りのアイテムがひっそりと紛れることで、優しくてあたたかみのある雰囲気が引き立てられている。

休日は車で遠方まで宝探しに

基本的にはインテリアは森さんが選ぶことが多いそうだが、「一緒に選ぶ中で、夫も『これがいいんじゃない』と意見を言ってくれるようになって、外出がとても楽しくなりました」と嬉しそうに話す。

休日は家族で遠出をして、蚤の市やリサイクルショップをめぐって宝探しをしているのだそう。「車が大きいから、ついたくさん買ってしまって。毎回、二人で頑張って部屋まで運んでます(笑)」そういって教えてくれたのは、静岡県沼津市のリサイクルショップ「コザイクラボ沼津店」や、神奈川県寒川町のヴィンテージ家具店「クラップヴィンテージ」など。都心から少し離れるだけで、ユニークかつリーズナブルな掘り出し物に出会えるのが楽しい。

また、新しいものを出迎えるだけでなく、すでに購入したものをリメイクするのも休日の楽しみのひとつ。「実は、IKEAで買った大きな棚があって。それをリビングで使うために、何色に塗り直すか構想を練っているところです」とのこと。お部屋に合わせて気軽にDIYで変身できるのも、カジュアルブランドならではの魅力かもしれない。

子供の成長とともに実験を重ねていく楽しみも

娘さんの部屋の奥には、チュールのカーテンで仕切られた小さなデスクブースが。
「いまは私が作業をしたり、収納する場所として使っていますが、娘が大きくなったらここを勉強できるスペースにしてもいいかなとも考えています」

小さなお子さんがいても、たくさんのインテリア小物をディスプレイできる秘訣は、できるだけ工夫して手の届かないに置いたり、目線を散らすような配置を心がけることだそう。

とはいえ「最近は、彼女にもこだわりが出てきたみたいで。私の真似をして、お気に入りの人形を一生懸命ディスプレイしたりもしています(笑)」と笑う。

最後にこの家の将来を聞いてみると、これからもお子さんの成長に合わせて、実験するような気持ちで、より快適だと思える空間づくりを続けていきたいと話す森さん。もう少し大きくなったら、一緒に家具選びをしたりするのが楽しみなのだそう。休日の宝探しがさらに捗りそうだ。

  • Photo/Hiroyuki Takenouchi
  • Text/Sakurako Ueda
LL MAGAZINE